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記事の閲覧 - 店長が自分でする店舗診断(2005年10月号)
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売れるお店はここが違う - 店長が自分でする店舗診断(第5回)

著者プロフィール
角田誠(つのだまこと)
日本商業施設学会会員、商業施設士、商業施設活性化コンサルタント、一級建築士、(協)日本店装チェーン監事、(社)商業施設技術者・団体連合会関東甲信越支部副支部長
商業施設の企画、設計、施工などを多く手掛ける。ベーカリー百数十店の店づくりに携わる。「江東区魅力ある個店づくり」制度に派遣される。
株式会社第一店装代表取締役、武蔵工業大学卒業 http://www.dai1-t.com

第3章 店内診断(後編)

■お店の若さは、2つの「お得」
 前回の診断で、お店の若さを保つための重要なポイントは、「照明」と「清掃」だといいました。
 「照明」については、ランプ交換といったメンテナンスを必ず行い、レイアウトの変更などに適切な対応をします。
 また、「清掃」を徹底して、いつもクリンネス(清潔感)に気をつけることで、美しさを保ちながら衛生的なお店を心がけます。
 そのことが、お店の若さを保つことになり、お店の魅力が持続されることになります。
 お店の若さを保つメリットの第一は、そのお店の魅力や輝きにより、来店客数が伸びて、「売上」の向上が図られることです。
 また、手入れをおろそかにしているお店は、新装して間もなくても、お店の老化が進んでしまいます。老化の進んだお店と若さを保っているお店では、リニューアルの間隔に大きな違いが生じます。お店はある期間ごとにリニューアルをしないと客数が減少していきますが、手入れの行き届いたお店は、数年たっても輝きを失いません。
 お店のリニューアルのタイミングは、お店の営業戦略や顧客とのニーズのギャップ解消を目指して行われるのがベストです。お店をきれいにリニューアルしただけで、継続的に売上がアップする時代ではありません。「手入れ」を十分行い、「お店の寿命」を伸ばすことで、長期的な店舗コストの削減を図ります。
 お店の若さを保つことで、「売上」と「お店の寿命」の二つを伸ばすことになるのです。
 先月の「照明」に引き続き、今回は「清掃」について診断を行います。


?20 冷暖房の設備は快適か。
?21 掃き掃除は、まめに行われているか。
?22 空調機まわりや換気口などをはじめ、汚れや傷みはないか。
?23 汚れや傷みはないか。
?24  ワックス等の手入れはよいか。はがれ傷みはないか。
?25 すべてのトング、トレーはきれいか。キズがついて汚れが落ちにくくないか
?26〜27 倉庫スペースは適切か。収納不足により、お客様から見える場所にものを置いていないか。
?28 お客様の知りたい情報は、あらかじめ掲示しているか。
?29 手作り、焼きたて感の演出のため、厨房の動きが見えるか。
?30 お客様から見える厨房は清潔か、整理整頓されているか。


■「清掃」は商売の基本
 清掃の行き届いた店は、店長の「いらっしゃいませ」という心からのメッセージがお客様に伝わります。次のポイントを押さえて、「手入れ」の行き届いた清潔なお店を心がけてください。
 ○掃除の順序は、上から下へが鉄則です。まず天井面、高い壁面から、商品棚や壁面というように、ほこりを落とすようにすすめていき、最後に床面をきれいに仕上げます。
 ○天井面は、目立ちにくいのですが、チリやほこりが付着しています。「落下菌」の原因にもなりますので、定期的に清掃します。静電気はたき(天井用の伸縮棒付きが便利)で、天井面を軽くなでるようにしてほこりを落とします。落下菌対策と店内の明るさ確保のために、店舗全体のリニューアルとは別に、天井の塗り替えや貼り替えを3年ごとに行うことをおすすめします。
 ○壁面は、掃除しやすい仕上げ材料が適しています。腰の高さまでの腰壁は、パンが触れる可能性がありますので、ふ
き掃除しやすい仕上げ材にします。クロスやレンガなどの汚れがとれにくい素材は、商品の近くでの使用は避けます。
 ○床の汚れを防止するには、当然なのですが、まめに掃くのが一番です。お客様の出入りによって入ってきたごみやパンくずなどは、何度か人に踏まれてしまうとなかなか汚れが落ちにくくなります。作業の合間で手があいたときには、すぐ床を掃く習慣をつけたいものです。長尺シートや塩ビ系タイルの床面は、定期的にワックスがけを行います。床面に保護膜をつくり床材の傷みを防ぐだけでなく、掃除がしやすくなります。
 ○掃除を徹底して店を明るくするという意味では、蛍光灯の掃除が一番有効です。蛍光灯やその反射板を掃除することによりお店の照度は、間違いなくアップします。前回の「照明」の項で、明るさを確保するために、定期的に蛍光灯の交換が必要といいましたが、まずお金をかけずにできることを行います。
 ○トレーやトングは、お客様が直接手
を触れるものですから、一番ていねいに「手入れ」をします。トレーの隅々や裏側も、きれいに拭きます。特にチョコレートは、念入りに洗わないと残ってしまいますので注意します。トレーはキズがつかないようにていねいに扱います。キズのなかに入り込んだ汚れは、容易にとれません。汚れのとれなくなったトレーは使用しません。
 ○レジバックが乱雑なお店が少なくありません。スタッフにとって、自分たちのエリアという意識があるのかもしれません。しかし、お客様にとってレジ待ちの時間は、一番退屈な時間です。その間お客様の視線は、レジカウンターのまわりにくまなく向けられることを忘れないでください。
 ○死角エリアの清掃も大事です。お客様は案外細かくチェックしています。什器の下や裏のサッシ側などの清掃のため、什器にキャスターをつけるなどの工夫で清掃のしやすい環境をつくることが必要です。
 ○壁タイルの目地の黒ずみは、クリームクレンザーで落とします。それでも落ちない場合は、カビですのでカビ取り専用の洗剤を使います。カビ取り洗剤はブラシで塗り、時間を置いてから水洗いします。目地に洗剤を塗るときは、横目地にだけに塗りこむようにするとタテ目地に洗剤が入っていきます。



■お店に関連しないものは置かない
 お店の売り場は、お客様のためのスペースです。
 お客様に直接関連のないものは、店内に一切置いてはいけません。スタッフの私物などは言うに及びませんが、包材や事務用品などもお客様の目に入らない場所に収納します。
 そのための収納スペースや倉庫は確保するべきです。
 また、絵画、雑貨、時計、カレンダーなども、お店の雰囲気やデザインストーリーに合わないものは、たとえ店長の趣味や親しい方からの贈り物といえども置くべきではありません。

■「焼きたて」のシズル感を演出する
 オーブンフレッシュベーカリーの一番の魅力は、湯気の出そうな焼きたてのパンを選べることです。コンビニやスーパーの棚パンとの違いを見せつけましょう。焼きたてのシズル感を演出するには、オーブンから商品が出る様子をお客様に見ていただくのが最も効果的です(写真1)。
 売り場にオーブンを隣接させて、窯だし作業を目の当たりに楽しんでいただきましょう。
 焼き上がりの時刻予定表は、オーブンを背景にして掲示します。お店の主力商品やお客様からの質問の多いアイテムについてご案内します。
 売り場のお客様に厨房の動きを見ていただく場合、必要以上に清潔、整理整頓に気を配らなければなりません。
ひとつひとつの作業が終了したらすぐに片付けて次の作業にかかるようにして、洗い物がシンクに放置されていたり、まわりにごみが落ちていたりすることのないようにします。

写真1:陳列ゴンドラ越しに、厨房の動きを見せてシズル感を演出(モンタボー木場店)



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